モバイル系のデバイスでユーザーにとっての死活問題がバッテリーの持続時間だ。その解決の糸口となると言われているのが電気を発電する燃料電池である。

以前から燃料電池を活用したポータブル向けのパワーサプライは、様々なIT関連の展示会でコンセプトモデルや試作モデルが出展されてきているが、実際に実用化され世界中に普及したと言い切れる製品は、今のところないようだ。

リード エグジビション ジャパンが主催するスマートエネルギーWeek 2014内の燃料電池展「FC EXPO 2014」で、は燃料電池関連の様々なデバイスなどが出展されていた。コンシューマー用途の製品として出展していたのはドイツeZelleronの「eZell 1」だ。ライター用のブタンガスから電力を取り出せる携帯型の燃料電池で、初めての実用的な燃料電池であると言えるかもしれない。



FC EXPO 2014で同社が紹介していた製品は、ほかにもいくつかあったがポータブルなモバイル向けのバッテリーチャージャーとして使い勝手が良さそうだったのが、燃料(ブタンガス)を充填した状態で重量が250gとコンパクトな「eZell 1」だ。

一般的なリチウムイオンのモバイルバッテリーより若干大きいものの、片手で持てるサイズの燃料電池だ。USB端子が搭載され、スマートフォンやタブレットを充電できる。一般的なモバイルバッテリーと違うのは、ガスを入れる注入口があり、ここからライターなどで使うガスを注入することで発電が出来るという点。

燃料に使うのは、ガスライターやカセットコンロなどで使われているブタンガスだ。ガスライター用のボンベから直接注入できる。ガスライターで使う補充用のガスは、日本であればコンビニやホームセンターなどで広く販売されている。

このように燃料電池用専用のカートリッジを入手する必要がなく、本体さえ購入すれば、どこでも入手可能なガスから、電気を取り出すことができることが最大の特徴と言えるだろう

一般向けの燃料電池は各社が販売を目指しているが、実際は普及していない。その理由としては、専用のカートリッジが必要で、その流通をどうするかといった問題があった本製品は一般的なライター用のガスボンベが使えるため燃料入手の問題はなくなる。

今後は航空機などへの持ち込み、各種安全性など日本での認可を取得し、2015年Q3の販売を目指すという。いま現在、最も量産に近づいたポータブル燃料電池として要チェックの製品と言っていいだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

eZelleron

ITライフハック
ITライフハック Twitter
ITライフハック Facebook

デジ通の記事をもっと見る
タフさだけじゃない! パナソニックの頑丈タブレット「TOUGHPAD」が持つ特徴
パナソニックから5インチのスマートフォンとしても使える頑丈なタブレット「TOUGHPAD」登場
PS4があればPCは不要? どちらかひとつ決めることができないゲーム環境