昨日紹介したようにアメリカで販売されている車のほとんどが、Bluetoothによるハンズフリー通話機能や給電用USBポートによる充電に対応し、スマートフォンとうまく連携できるようになっている。ただし、カーオーディオやカーナビ機能の利用という点から見ると、世界的に見て日本は非常に高い水準にある。なにしろカーオーディオを出しているメーカーが、いまだに多数存在している点からみてもカーステレオやカーナビは、ごくごく当たり前の機能として日本で浸透していると言っていいだろう。




■日本の道路事情が高機能さを求める日本製カーナビ
しかし、そのいっぽうでスマホ対応がどんどん進むアメリカの車に対し、高級車を除くと日本ではスマートフォンとの連携はほとんど進んでいない。このままでは、スマホと連携できないカーオーディオやカーナビ機能が日本にだけ大量にあるなんて世界になりかねない。いわばカーオーディオやカーナビのガラパゴス化といった感じだ。そうした状況の中、アップルがCarPlayを正式に発表した。

すでに何年も前から日本メーカーの高性能なカーナビは、海外では高すぎて普及しなかった。独自機能を満載していたためガラパゴス化していると言われていた。日本の車はスマートフォンとの連携におてハンズフリー機能や給電用USBポートを持たないことがほとんどなため特殊な市場になりつつある。アメリカではシンプルな標準のオーディオ機能でBluetoothやUSBに対応しているし、ハンドルのボタンとの連携もあり便利だ。

アメリカといった海外で高性能なカーナビが普及しなかったのは、それ自体の価格が高いということもあるが、道路事情が日本と異なり比較的わかりやすい(覚えやすい)ことや、高級カーオーディオやカーナビはすぐに車上荒らしによって盗まれる危険が高い。車社会であるアメリカは車自体の盗難も珍しくはないなど、日本とは大きく異なる社会環境が影響していると言える。この環境は今後も大きく変化することはないだろうから、今後も高性能なカーナビが大勢に受け入れられることはないと考えていいだろう。

日本では高性能なカーナビが普及し、日本の自動車会社も独自のカーナビブランドを展開している。たとえばホンダの「インターナビ」、トヨタの「G-BOOK」、日産の「カーウィングス」などの車載情報システムのテレマティクスに力を入れているようだ。日本で提供されているテレマティクスは便利ではあるが、これを利用するためには高価な対応機器が必要になるなどユーザーのコストが増える。多くの人たちがスマートフォンを持つ時代に、車の運転時にしか使わない高価なナビシステムは必要だろうか。

■アップルのCarPlayがもたらすもの
そんな中で、アップルがiOSと車の連携機能「CarPlay」を発表した。車載OSは各社が開発しているが、CarPlayは各社の車載OSとiPhoneをうまく連携させる仕組みであると筆者はみている。今までもBluetoothでスマートフォンによる音声通話、内蔵メモリーにある音楽データーの連携はできた。しかし、CarPlayでは、車のディスプレイにiOSのアイコンが並び、カーナビ機能ともうまく連携できる。もちろん、アップルの音声認識機能のSiriも利用しハンズフリーの操作も可能になる。

多くの自動車会社がこのCarPlay対応を表明しているが、各社が独自に開発しているシステムを根幹から覆す仕組みではないからだろう。高級車などのカーナビなど標準の車では、既存のシステムを多少改良しCarPlayに対応していくようだ。カーナビが装着されない普及価格帯の車でも、バックカメラを義務化する動きもあり、今後は液晶モニターが標準化される可能性がある。CarPlayによって、車で利用される機器が、がらりと変わる可能性がある。そして、いずれはAndroidも、この流れに乗っていくだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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