最近はBYOD(Bring Your Own Device)などが持てはやされてきており、スマートフォンやタブレットだけで日々の仕事が完了するような環境も整いつつある。しかし、そうはいっても、まだまだパソコン(PC)は仕事に欠かせない存在だ。とくにモバイル系のノートPCは、仕事環境を丸ごと持ち出して外出先で使えるため、常に持ち歩いているビジネスユーザーもいるだろう。

そのノートPCの悩みのタネは、パワーアップが難しいところだ。数年使っていくうちに遅くなってしまうのだ。そして大半のノートPCでは、プロセッサー(CPU)は交換できないためパワーアップが難しい。そんなノートPCで体感的に性能向上を狙えるのがストレージの交換だ。HDDを高速なストレージに交換することで、ノートPCを体感的に速くさせることができる。

ストレージ交換と聞くとネジをたくさん外さないといけないのでは? と心配になる人もいるだろうが機種によっては、ネジを数本外すだけで、ストレージを抜き出せる製品もある。そうしたモデルであれば、今まで交換したことがない人でも、手を出せない話ではないのだ。

ストレージ交換でポイントになるのが「ストレージの種類」「予算」と「記憶容量」だ。ソリッドステートドライブ(SSD)はHDDに比べてはるかに高速だが、同容量のHDDに比べるとかなり高価だし、HDDはSSDよりも安価だが、SSDに比べてかなりスピードが遅い。

安価でかつ高速なドライブはないか? というと、実は存在する。最近にわかに注目を集めているのが、デュアルドライブ(SSD + HDD)という製品だ。キワモノ的なイメージを持つかもしれないし、メーカーの公式サイトやショップの情報だけでは、実際の使用感がわからないため、手を出しにくいという人もいるだろう。

そこでおススメなのがレビューメディア「ZIGSOW」のユーザーが実際に使用した経験を紹介するプレミアムレビューだ。今回は数あるレビューの中から、古いノートPCのHDDと交換したというパッチコさんのレビューを紹介しよう。商品はモバイル2.5インチデュアルドライブ(SSD + HDD) 「WD Black²」だ。

■「WD Black²」とは、どういった製品なのか?
「WD Black²」を知らない人のために、同製品を簡単に紹介しておこう。本製品は、1TBの大容量HDDに加えてアクセス性能に優れる120GBのSSDを2.5インチサイズにダブル搭載しているストレージだ。メーカーはウエスタンデジタル(WD)。

SSDはHDDに比べて高速だが、容量いっぱいまで書き込んでしまうとパフォーマンスがガクッと低下する傾向があり、これがSSDユーザーを悩ませる問題になっていた。WDのデュアルドライブソリューションは、この問題を解決する。大容量データは1TBのHDD側に移し、SSDの記録媒体であるMLC NANDメモリーの寿命を延ばすことで、最適なパフォーマンスが維持できるようになっているわけだ。

高温や耐衝撃・振動に対する耐久性を備える点も大きな魅力となっている。デュアルドライブのフォームファクタながら機敏性と信頼性を同時に実現した。高度なファームウェアとスマートアルゴリズムを採用し、パフォーマンスを向上。低温・静音動作を可能にしている点も見逃せない。
モバイル2.5インチデュアルドライブ(SSD + HDD) 「WD Black²」


■「WD Black²」へ載せ替えてノートPCの高速化に挑戦
少し前置きが長くなったが、それでは、ZIGSOWユーザーであるパッチコさんのレビューを紹介しよう。パッチコさんは、手持ちのノートPC「ThinkPad X121e」の内蔵HDDを「WD Black²」に交換した。

1.製品の紹介
パッチコさんいわく、「一般的にノートパソコンは1つしかSATAのバスをもっていない場合が多い」とのこと。となるとSSDとHDDのダブルドライブである本製品が載るのか不安になるが「3~5年位前のパソコンをターゲットにしているのでしょうか。2つのストレージを1台のHDDと見なして動作する為、SATAポートマルチプライヤを搭載し、SSDの区画とHDDの区画を1台のディスクのパーテイションと見なしています。この事で比較的古いPCでも動作できる仕組みです。」SATAポートが1つしかなくても乗せ換えることができるということで、多少古いノートでも換装できると説明している。
ポートマルチプライヤ:2つのストレージを切り替えて使用している。

OSからは2台のストレージを連結した1つのディスクとして動作する。


2.「WD Black²」の交換手順
パッチコさんによると、既存のHDDと本製品を交換することにより、ほかに追加コストなしでスピードと容量を手に入れられるとのこと。「WD Black²」に交換する前にやっておく作業としては、古いノートPCの内蔵HDDの内容を、同製品に複製しておく必要がある。
こうしておくことで、下記のようなメリットがあるとしている。

・今までインストールしたアプリケーションをそのまま利用可能
・ドライバーの再導入がほぼ不要
・追加ソフトウェアコスト無し(一番重要)

パッチコさんいわく、「近年のPCは高機能化のために導入するデバイスドライバもかなり種類があり手間です。OS以外にも普段使用するアプリケーションの再導入も大変です。例を挙げるとすれば、私の仕事の環境を再導入するにはおおよそ2日間程度かかってしまいます。(一般的なOfficeアプリから複数の開発環境など。)」とのこと。HDD複製のメリットは大いにあるわけだ。

「WD Black²」は、SSD部分の容量が120GBだ。「速度を効果的に向上させるには、OSの負担が高い箇所をSSD領域に載せる必要があり、しかも、SSDの空き容量が少なくなるとSSDは速度低下する可能性を秘めているので、事前の計画は極めて重要となります。」とパッチコさん。

「WD Black²」では、付属のWebキーを起動済みのPCに差し込むと関連ドライバーのインストール後、WDのホームページへ誘導されるそうだ。ユーザーは画面に従い、「Acronis TrueImage 2013」とドライバーをダウンロード後、それらを使うことで、ノートPCの内蔵HDDの内容を「WD Black²」に丸ごと移行できる。


3.交換することのメリットとまとめ
今回交換したノートPCは、Windows7マシンであることと、開発系のアプリが入っていること。そして結構前のCPUのため、交換しても性能が出るか苦しい構成だったとのことだ。こうしたハンディがあるにもかかわらず、交換後は起動時間が以前と比べて半分に短縮できたというのだから驚く。

「起動時間が半分に短縮できる快挙でした。特に開発系のアプリケーションは大量のレジストリエントリやディスクのフラグメントが発生しやすいので、ストレージに与える影響は甚大です。HDDをSSD化する事で待ち時間の短縮やパフォーマンス上昇感を感じられる良い結果になったと思います。」と「WD Black²」のパフォーマンスに大満足とのことである。

パッチコさんによるOSの起動時間と、「CrystalDiskMark 3.0.2 Shizuku Edition x64」を用いたパフォーマンスの測定結果は、下記のとおり。

OS起動時間
HDD交換前:約3分40秒
HDD交換後:約1分56秒

CrystalDiskMark
■HDD交換前
「ThinkPad X121e」内蔵HDDのベンチマーク結果

■HDD交換後
「WD Black²」のベンチマーク結果。左がSSD側、右がHDD側。


「個人的にこの製品は技術的に面白いと思いました。凄く技術者よりの発想で開発されています。わざわざ連続してSSDとHDDを1つのドライブにアドレッシングしたのも互換性の為です。初期導入時に専用ドライバーを設けない事で、Windowsのインストールもすんなり進みます。パーテイションを切り直さない人はほぼ問題ないのでしょう。Ubuntuなどをデュアルブートさせている人はパーテイションの切り直しを結構行なうので、問題が出るかもしれません。」と、パッチコさん。用途次第で注意点が異なるようだ。交換手順や結果について、さらに詳細な情報を知りたければ、ZIGSOWのレビューを見ればよいだろう。

世界初! 速さのSSDと大容量のHDDの良いトコ取り - モバイル2.5インチデュアルドライブ(SSD + HDD)WD Black² WD1001X06XDTL(120GB+1TB)のレビュー

以上のように、「WD Black²」があれば、手持ちの古いノートPCのパフォーマンスが大幅に向上することがわかってもらえたと思う。Windows XPのサポート終了も近いことだし古いノートPCを持っていてHDD交換でOSの載せ替えに挑戦してみたい人は、ZIGSOWのプレミアムレビューを一読してみてはいかがだろうか。

モバイル2.5インチデュアルドライブ(SSD + HDD)「WD Black²」
ZIGSOW