以前『こんな技術を待っていた!ドワンゴ×NTTのコラボ第一弾「全天周映像向けインタラクティブ配信技術と「視聴品質最適化技術』という記事でドワンゴとNTTの業務提供しているが、その第2弾となる成果を2014年11月20日にドワンゴ本社にて発表会を開催した。

今回発表したのは動画視聴の品質向上を目指したものだ。具体的には、ニコニコ動画の視聴時の体感をよりよくするための取り組みで、今後につながる新しい技術がいくつか発表された。今回発表されたのは、バーチャルリアリティLIVE配信サービス、動画の体感品質向上の取り組み、H.265への対応となる。

nico2

バーチャルリアリティLIVE配信サービスは、11月17日に行われた小林幸子さんのライブからサービスが始まった。これは、ステージに設置された全球カメラで撮影したライブの模様をOculus Riftで視聴するものだ。

Oculasで画像を立体視聴するためには、全球の画像が必要になる。動画配信の場合、その動画データは膨大になってしまう。そこで目に見えている範囲の正面の画像だけ高解像度で配信することで、データ量を削減する。この技術を使うことで、膨大になるVR向けのデータ量が、すべてのデータを高画質で配信するよりも1/3に圧縮できるという。

nico3

動画の体感品質向上に関する取り組みは、利用者の環境に応じて最適な解像度、フレームレートの動画を配信する。利用者が動画を視聴するネットワーク、場所、時間の回線の状況をNTTがもつ品質APIに問い合わせた上で、各ユーザーの体感品質が最も高くなる設定で動画を配信する。

nico4

これにより、混雑した場所でのスマートフォンへは低画質な動画、光回線には高画質で配信し、全ユーザーがそれぞれの環境で快適に動画を視聴できるようになる。この技術により、動画が止まってしまうことがほとんどなくなり、動画視聴の品質は大きく高まる。それでいて送受信されるデータの総量は低下するため、サーバー側の負荷も軽減する。この実証実験は、ニコニコ動画のAndroidアプリ利用者の中からランダムに試験提供し、今後の本格運用を目指していく。

現在一般的に使われている動画コーディックのH.264と同等画質の動画を約半分のデータ量で実現できるH.265/HEVCに関しても発表されている。現在、H.265でのリアルタイムエンコードは非常に高い負荷がかかるが、ニコニコ生放送のライブ配信で適用する新技術では、大きく進化しているという。こちらに関しては別途レポートしたい。生放送や動画配信という、当たり前に使っている技術が、日々進化しているといことが実感できる内容盛り沢山の発表だった。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

ITライフハック
ITライフハック Twitter
ITライフハック Facebook

デジ通の記事をもっと見る
キャリアごとに、ちょっとした差があるiPhone 5sの中古製品
NVIDIA SHIELDタブレットがAndroid 5.0 Lollipopへアップデート開始
ウェアラブルデバイスの駆動時間を延ばすためのディスプレイ技術
実際の製品化が楽しみなVAIOブランドのタブレットプロトタイプ
NECがWindows8インチタブレット「LaVie Tab W」の詳細情報を公開