輸入車好きな人なら堪らないというJAIA主催の一大試乗イベントが開催された。JAIAこと日本自動車輸入組合(以下、JAIA)は、2014年11月に設立50周年を迎えた。半世紀を迎えた節目として2015年2月3日に設立50周年記念事業のキックオフイベントとして、大磯プリンスホテル特設会場にて「JAIA設立50周年 特別展示・試乗会」を開催した。
この試乗会では、最新のメルセデスベンツ「C250」、アストンマーティン「V12ヴァンテージS」、ロールスロイス「ファントム」、フォルクスワーゲン「e-up!」など、人気の輸入車の最新モデルを用意。試乗会に参加したプレス関係者は、希望の車に試乗することができた。
また、特別展示では、JAIAが歩んできた50年間の歴史を彩る往年の名車、合計13台を展示していた。ということで試乗してきたフォルクスワーゲン「e-up!」の試乗を中心にお届けしよう。
先述したように試乗したのはフォルクスワーゲンの電気自動車(EV)である「e-up!」だ。この車、「up!」をベース車両にしてEV化を行ったものだ。そのため室内の仕様などはup!と共通のコンポーネントが使われている。もちろん「e-up!」ならでは、といった仕様も見られたのでその辺も紹介しよう。
■静かでスムーズな加速!車内も広い
先述したように「e-up!」は、フォルクスワーゲンのシティコミューター「up!」をベースにEV化した車だ。日本国内のEV市場では5ナンバー枠に収まる。2015 年2月1日から全国のフォルクスワーゲン正規ディーラーで受注を開始した。価格は、全国希望小売価格が366 万9千円(税込)。
「up!(アップ!)」をベースに電動化した、電気自動車「e-up!」
最大の特徴は、up!同様の取り回しの良さとシティコミューターらしいキビキビとしたレスポンスだ。ドライバーはガソリン車に慣れた人でも、別のEVからの乗り換えでも違和感なく、楽に運転することができるだろう。
実は、これまで筆者はハイブリッド車までしか乗ったことがなかった。今回、EV車に初めて試乗したわけだが、前々から「EV車は静かである」と聞いていたことが正しいと実感。
試乗してみると、あまりの静音性に驚かされた。この手のコミューターは、多少のエンジン音は許容範囲なのだが、これなら家族や仲間同士のドライブでも、大きな声を出さずにコミュニケーションが取れる。静かな分、タイヤからのロードノイズ、また足もとや腰下から伝わる情報というのがダイレクトに上がって来るのを感じることができ、これは新しい体験だった。
フロントシートは、ヘッドレスト一体型。左右のホールド感は、まあまあといったところ。
5ナンバー枠に収まる割に車内は広い。これはベース車両であるup!がそうした設計になっているためだ。後部座席の居住性も確保されているが、180㎝で90kg以上といった体格が大きめの人には長距離移動となると、若干辛いかもしれない。
後部座席の居住性も、なかなかだ。街乗り中心の車の性格を考えると十分といったところだ。
「e-up!」を後ろから見ると、ぱっと見ロゴ以外はガソリン車の「up!」と変わらない。「e-up!」ロゴを見てEV車であるとわかる程度。ただ、リアバンパーに赤く囲むように「e-up!」専用リフレクターが装着されており、ここがup!と違う部分になる。
背面には、「e-UP!」のロゴがある
リアバンパーに赤く囲むように「e-up!」専用リフレクターが装着される。ここが違う部分。
15インチのアルミホイールはe-up!専用でタイヤサイズは165/65 R15となっている。
■約30分で約80%充電!「e-up!」はドライバーを待たせない
EV車で気になるのがバッテリーだ。エネルギー容量18.7kWh のリチウムイオン電池(重量:230kg)を床下に配置。このためパワーユニット含めup!より240kgほど重い1160kgとなっている。重いバッテリーを床にバランスを考えて配置した結果、ロールセンターが下に来た分、スモールカーとは思えない安定感と上質な乗り心地を実現している。
ステアリングやシフトカバーにe-up!専用の青いステッチ糸が使われている
204個のセルで構成されるバッテリーは、最大出力60kW(82ps)、最大トルク210Nmの性能を持つパワーユニットと組み合わされる(電圧の最大は374V)。0-100km/hは12.4 秒、最高速度は130km/hだ。 担当者の話では、アクセルを踏み込んでも急加速しない技術が盛り込まれているそうだ。
インパネは中央に速度計、左はタコメーターのような充放電計、右は電池残量計。
バッテリー満充電時の航続可能距離は、走行及び気象条件などによって異なるが、JC08モードでは185kmとなっている。担当者の話では、あくまで目安とのこと。「e-up!」では、専用のドライビングプロファイル機能により、ドライバーは、「Normal」「ECO」「ECO+」という3つの走行モードを自由に選択して、より省電力な走行を行うことで、航続距離を長く伸ばすことができる。
「e-up!」のシフトレバー周り。ATのシフトとは違い、ここで回生ブレーキの段階を設定する。
「Normal」「ECO」「ECO+」という3つの走行モードを選択できる
充電は2つの充電ポートから行える。ひとつは家庭でも充電できる200V の普通充電用ポートであり、もうひとつは日本の急速充電規格である“CHAdeMO”用の充電ポートだ。200V の普通充電用ポートの取り付け位置は、「e-up!」の場合、ボンネットを開け、正面奥のバルクヘッド(従来のエンジンルームと客室の隔壁)部分にある。
パワーユニット。オレンジ色のケーブルは、モーターに接続されている。
家庭でも充電できる200V の普通充電用ポート
急速充電の"CHAdeMO"用充電ポートは、従来のガソリン給油口の部分に設置してあり、使用する際は、プッシュ・オープン式のフューエルリッドを開けてから、しっかりと充電ソケットを差し込む仕組みを採用している。充電量がゼロの状態から満充電までに要する時間は、200Vの普通充電で約8時間、急速充電では、約30分で約80%充電することができる。
e-up!専用のディスプレイである「touch+more」(GARMIN製)
シフトノブ上部には、e-up!専用のディスプレイである「touch+more」(GARMIN製)を搭載。車の状態、各種情報などをここから確認することが可能だ。操作はスマホ同様のタッチ操作となっている。また、スマホと連動できるアプリ「Car-Net」も用意されており、スマホ経由でe-up!の車両状態を確認したり、運転前に予め外部電源を使ってエアコンを作動させたりするといった操作も可能になっている。
以上のように、フォルクスワーゲン「e-up!」を紹介した。個人的感想を含めて、そつなく仕上がった良い車だと感じた。また「e-up!」の試乗によってEV車のメリットと言うのがわかった。また日本車とは違う、良い意味での輸入車のフィーリングというのを、今回の試乗で感じることができた。
日本は、狭い国土の割に自動車メーカーが多いという特殊事情がある。日本車とはいってもひとくくりにできないほど種類が多い。さらにJAIAの扱う輸入車という、さらに異なる文化を持つ国からやってきた魅力あふれる車たち、そうした豊富な選択肢を選べるということが、今回の試乗会で、どれだけ恵まれているかということを改めて実感することができた。そして次に購入する車としてEV、そして国産車以外の選択肢を念頭に入れるべし、と心に決めたイベントでもあった。
■日本自動車輸入組合(JAIA)
この試乗会では、最新のメルセデスベンツ「C250」、アストンマーティン「V12ヴァンテージS」、ロールスロイス「ファントム」、フォルクスワーゲン「e-up!」など、人気の輸入車の最新モデルを用意。試乗会に参加したプレス関係者は、希望の車に試乗することができた。
また、特別展示では、JAIAが歩んできた50年間の歴史を彩る往年の名車、合計13台を展示していた。ということで試乗してきたフォルクスワーゲン「e-up!」の試乗を中心にお届けしよう。
先述したように試乗したのはフォルクスワーゲンの電気自動車(EV)である「e-up!」だ。この車、「up!」をベース車両にしてEV化を行ったものだ。そのため室内の仕様などはup!と共通のコンポーネントが使われている。もちろん「e-up!」ならでは、といった仕様も見られたのでその辺も紹介しよう。
■静かでスムーズな加速!車内も広い
先述したように「e-up!」は、フォルクスワーゲンのシティコミューター「up!」をベースにEV化した車だ。日本国内のEV市場では5ナンバー枠に収まる。2015 年2月1日から全国のフォルクスワーゲン正規ディーラーで受注を開始した。価格は、全国希望小売価格が366 万9千円(税込)。
「up!(アップ!)」をベースに電動化した、電気自動車「e-up!」
最大の特徴は、up!同様の取り回しの良さとシティコミューターらしいキビキビとしたレスポンスだ。ドライバーはガソリン車に慣れた人でも、別のEVからの乗り換えでも違和感なく、楽に運転することができるだろう。
実は、これまで筆者はハイブリッド車までしか乗ったことがなかった。今回、EV車に初めて試乗したわけだが、前々から「EV車は静かである」と聞いていたことが正しいと実感。
試乗してみると、あまりの静音性に驚かされた。この手のコミューターは、多少のエンジン音は許容範囲なのだが、これなら家族や仲間同士のドライブでも、大きな声を出さずにコミュニケーションが取れる。静かな分、タイヤからのロードノイズ、また足もとや腰下から伝わる情報というのがダイレクトに上がって来るのを感じることができ、これは新しい体験だった。
フロントシートは、ヘッドレスト一体型。左右のホールド感は、まあまあといったところ。
5ナンバー枠に収まる割に車内は広い。これはベース車両であるup!がそうした設計になっているためだ。後部座席の居住性も確保されているが、180㎝で90kg以上といった体格が大きめの人には長距離移動となると、若干辛いかもしれない。
後部座席の居住性も、なかなかだ。街乗り中心の車の性格を考えると十分といったところだ。
「e-up!」を後ろから見ると、ぱっと見ロゴ以外はガソリン車の「up!」と変わらない。「e-up!」ロゴを見てEV車であるとわかる程度。ただ、リアバンパーに赤く囲むように「e-up!」専用リフレクターが装着されており、ここがup!と違う部分になる。
背面には、「e-UP!」のロゴがある
リアバンパーに赤く囲むように「e-up!」専用リフレクターが装着される。ここが違う部分。
15インチのアルミホイールはe-up!専用でタイヤサイズは165/65 R15となっている。
■約30分で約80%充電!「e-up!」はドライバーを待たせない
EV車で気になるのがバッテリーだ。エネルギー容量18.7kWh のリチウムイオン電池(重量:230kg)を床下に配置。このためパワーユニット含めup!より240kgほど重い1160kgとなっている。重いバッテリーを床にバランスを考えて配置した結果、ロールセンターが下に来た分、スモールカーとは思えない安定感と上質な乗り心地を実現している。
ステアリングやシフトカバーにe-up!専用の青いステッチ糸が使われている
204個のセルで構成されるバッテリーは、最大出力60kW(82ps)、最大トルク210Nmの性能を持つパワーユニットと組み合わされる(電圧の最大は374V)。0-100km/hは12.4 秒、最高速度は130km/hだ。 担当者の話では、アクセルを踏み込んでも急加速しない技術が盛り込まれているそうだ。
インパネは中央に速度計、左はタコメーターのような充放電計、右は電池残量計。
バッテリー満充電時の航続可能距離は、走行及び気象条件などによって異なるが、JC08モードでは185kmとなっている。担当者の話では、あくまで目安とのこと。「e-up!」では、専用のドライビングプロファイル機能により、ドライバーは、「Normal」「ECO」「ECO+」という3つの走行モードを自由に選択して、より省電力な走行を行うことで、航続距離を長く伸ばすことができる。
「e-up!」のシフトレバー周り。ATのシフトとは違い、ここで回生ブレーキの段階を設定する。
「Normal」「ECO」「ECO+」という3つの走行モードを選択できる
充電は2つの充電ポートから行える。ひとつは家庭でも充電できる200V の普通充電用ポートであり、もうひとつは日本の急速充電規格である“CHAdeMO”用の充電ポートだ。200V の普通充電用ポートの取り付け位置は、「e-up!」の場合、ボンネットを開け、正面奥のバルクヘッド(従来のエンジンルームと客室の隔壁)部分にある。
パワーユニット。オレンジ色のケーブルは、モーターに接続されている。
家庭でも充電できる200V の普通充電用ポート
急速充電の"CHAdeMO"用充電ポートは、従来のガソリン給油口の部分に設置してあり、使用する際は、プッシュ・オープン式のフューエルリッドを開けてから、しっかりと充電ソケットを差し込む仕組みを採用している。充電量がゼロの状態から満充電までに要する時間は、200Vの普通充電で約8時間、急速充電では、約30分で約80%充電することができる。
e-up!専用のディスプレイである「touch+more」(GARMIN製)
シフトノブ上部には、e-up!専用のディスプレイである「touch+more」(GARMIN製)を搭載。車の状態、各種情報などをここから確認することが可能だ。操作はスマホ同様のタッチ操作となっている。また、スマホと連動できるアプリ「Car-Net」も用意されており、スマホ経由でe-up!の車両状態を確認したり、運転前に予め外部電源を使ってエアコンを作動させたりするといった操作も可能になっている。
以上のように、フォルクスワーゲン「e-up!」を紹介した。個人的感想を含めて、そつなく仕上がった良い車だと感じた。また「e-up!」の試乗によってEV車のメリットと言うのがわかった。また日本車とは違う、良い意味での輸入車のフィーリングというのを、今回の試乗で感じることができた。
日本は、狭い国土の割に自動車メーカーが多いという特殊事情がある。日本車とはいってもひとくくりにできないほど種類が多い。さらにJAIAの扱う輸入車という、さらに異なる文化を持つ国からやってきた魅力あふれる車たち、そうした豊富な選択肢を選べるということが、今回の試乗会で、どれだけ恵まれているかということを改めて実感することができた。そして次に購入する車としてEV、そして国産車以外の選択肢を念頭に入れるべし、と心に決めたイベントでもあった。
■日本自動車輸入組合(JAIA)