NTTドコモ・ベンチャーズは、2018年2月20日に東京・六本木にある東京ミッドタウンホール&カンファレンスにて、同社の実績と今後の活動方針を発表する「NTTドコモ・ベンチャーズDAY 2018」を開催した。
■グループの運用総額は500億円
開会にあたって同社の代表取締役社長である中山俊樹氏があいさつした。「ギアチェンジをテーマとして語りたい」と話す中山氏。
「ちょうど10年前にNTTインベストメント・パートナーズが発足した。NTTグループで500億円の運用をしているが、その時に立ち上げの責任者をやっていた。長いようで短い期間」(中山氏)。
そのあとNTTドコモ・ベンチャーズを立ち上げ、NTTドコモのベンチャーファンドとしてはじめたのが2013年。一体運営する体制がここでできた。また昨年はシリコンバレー支店を開いたり、第2号ファンドを立ち上げてギアを入れる準備をしてきたとのこと。
「今年はフルスケールでいろいろなリソースを使いながらどこもベンチャーズの活動を活発にしていきたい」と抱負を語る。
そして「パートナーとベンチャーと、お互いのフォーカスエリアをどうやって加速して推進するか。そこにベンチャーファンドやインキュベーションの仕組みを使いながら加速していく。これをさらに強化していきたい」とも話す。
「東京とシリコンバレーを拠点としながら、ソーシングをしたり、アライアンスやコラボレーションの枠組みを作っているのが現在」(中山氏)。
新たな活動としては、イノベーションビレッジがあげられる。これは5年前に立ち上げられたものだが、アクセラレーターやインキュベーターとしていろいろなイベントを行い、スタートアップを応援する仕掛けを作っているとのこと。
「週に2、3回は何らかのイベントが行われており、スタートアップして頑張る若い人たちがたちがこの場に集まってディスカッションしながらアイディア出しをしている。この運営も場作りとしていい感じになってきた」(中山氏)。
またNTTグループ総体の中でNTTドコモが心がけているのは、オープンパートナーシップ。AIエージェントについては「サービス側のAPI、デバイス側のAPIを開いて、エージェントを活用したサービスを一緒に作っていこうというコミュニティを形成している。400社を超える人たちと展開している」と中山氏。
5Gについては「4Gとは違って、音声を伝達するネットワークと言うよりは、サービスのプラットフォームそのものとなりつつある」と中山氏。「5Gを使って何を実現するのか、どういう価値を生み出すのか、パートナーの皆さんと一緒に考えている。先日プログラムを立ち上げて、何を実現するのか、どういう価値を生み出すのか、パートナーの皆さんと一緒に考えている。今年のギアチェンジの大きなテーマ」(中山氏)。
そして中近東やヨーロッパ、インド、中国と行ったグローバルなパートナーとソーシングやコラボレーションの拠点でパートナーシップを組んでいるとのこと。
「NTTグループの会社すべてと協業を進めていきたい。スタートアップやVCの人との協業を深めていく。AIやIoT、コネクテッドカーという新しいテーマに取り組んでいく」と中山氏は語った。
■キーワードは「フォーカス」「拡大」「連携」
引き続いて同社の取締役副社長である稲川尚之氏から、活動方針についての発表があった。
ここ20年通信関連のサービス変化を見てきたという稲川氏。
「1990年にアナログからデジタルに、1992年にiモードサービスが開始された。音声ではない通信。時間を越えたコミュニケーションのやり取りができるようになった。次の転換期が2007年。iPhoneが出てきてスマートフォンの時代が来た。最初は使えるのだろうかと思ったが、ここからモバイルとインターネットの融合が始まった。新たなイノベーションが生まれた。ここを境にして、情報の価値を考えるようになった」(稲川氏)。
インターネットが普及した時代では、フリーで読めるものが多かったのだが、お金を出しても情報を得たいものがあり、各社がマネタイズに懸命になっている状態。
情報の価値が上がるということはさまざまなサービスが生まれるわけだが、近年ではドローンやVRのヘッドマウントディスプレイなどが登場してきた。
「携帯は端末だったが、そこからデザリングなどで新たなデバイスがつながっている。ゲートウェイが変わってきており、また新たな組み合わせが生まれてきている」(稲川氏)。
そこで「フォーカス」「拡大」「連携」という点に絞って稲川氏は話を展開する。昨年NTTドコモは「ビヨンド宣言2020」として中期目標を発表したが、その中で9つの分野にフォーカスするとしている。
この中にはさまざまな改革が秘められているが、何が重要なのか。同社としては「ベンチャーキャピタルとして、注目分野を絞っていく」と語る稲川氏。
「大きな変化は起こっていなくても小さく変化をして、突然新たなデバイスが誕生する。シリコンバレーでもトライアンドエラーが起きているが、そういったところの組み合わせを意識してソーシングの質を高めていく」(稲川氏)。
2017年1月1日にNTTドコモ・ベンチャーズのシリコンバレー支店が開設されたが、東京本店とシリコンバレー支店を1つの組織として、グローバルな視点で活動をしていくとのこと。
またヨーロッパの新たな動きや、技術的に注目されているイスラエルなど主要な都市を股にかけて、「日々新しいものはないかと探している」のだと語る。
CVCについても「単に投資をするだけでいいのか」と疑問を投げかける。
「常にNTTドコモやほかのグループの事業開発にどう貢献するべきかを考えている。インフラの部分で大きく前進することで、そこに新たな価値を生み出す動きもしている。5Gがまさにそれ。2020年のオリンピックを目指してインフラを作っている。その上に乗るサービス、デバイス、情報が新たな先の未来への架け橋となることを信じている。そのため協業の可能性にあるところまで幅を広げて見つけていきたい」(稲川氏)。
また、資金を投資したからといっても、ベンチャーから見たら資金を得るだけとなってしまう。これだけでは物足りないと語る稲川氏。グループの参画を得ることで事業を大きくしてほしいとも。
「NTTグループを動かせば政府も動くかもしれない。日本を動かすかもしれない。そういった、事業展開の拡大に対する夢の入り口になりたいと思っている。ベンチャー投資だけでなくM&AやIPOなど、いろいろなパートナーシップを含めた事業参画に一緒に走って行きたい」(稲川氏)。
そして投資活動以外にも、先ほど紹介されたイノベーションビレッジを作ることで「人材の刺激的変化を求めている」と稲川氏。毎週火曜と木曜に勉強会が開かれているほか、個別にイベントが開催されているそうだ。ここでは協業活動や社会起業家の支援もしている。
「今日この場から一緒によりよい世界を作る。協業以外に創出というところで皆さんとやっていきたい」と最後に稲川氏は語った。
■NTTドコモ・ベンチャーズ
■ITライフハック
■ITライフハック Twitter
■ITライフハック Facebook
■ITビジネスに関連した記事を読む
・角川アスキー総合研究所、高校生向けの起業セミナーを実施
・Rubyでビジネスに新たな価値を見出せ!ビジネスアワード「Ruby biz Grand prix 2017」を開催
・「LINE」のビデオ通話・トークルームカメラ内で展開する新たな広告メニュー「スポンサードエフェクト」の提供を開始
・国立情報学研究所とLINEが共同研究へ。覚書を締結して共同研究部門設置など協議
・家に住みながら、その家を売却できる!老後に資金を調達できる、ハウスドゥの注力事業とは