DESIGNART(デザイナート)とは、デザインとアートを横断する、感動を与えてくれるモノやコトを新たに定義した言葉で、そうしたモノやコトの素晴らしさを発信・共有していくための活動そのものの名前である。この活動では、“Emotions〜感動の入り口〜”をコンセプトに、世界中の感動をもたらしてくれるデザイン&アートなモノ・コトを提供している。
その「DESIGNART TOKYO 2018」が10月19日から10月28日まで開催中だ。会場となっているのは都内の広大なエリア(表参道・外苑前/原宿・明治神宮前/渋谷・恵比寿/代官山・中目黒/六本木・広尾・三田)で、約120ものエキシビションが行われている。
同イベントにDNPコミュニケーションデザインとDNPデジタルソリューションズが出展中だ。エリアは恵比寿/代官山で、同エリアにあるTENOHA DAIKANYAMAにて、生活に寄り添ったIoTプロダクト群である「Connected Lifestyle」(CL)のコンセプトモデルを展示している。
■ 生活を便利にするIoTプロダクト群である「Connected Lifestyle」
同プロダクトは「CHAIN」「MONITOR」「ROLL」「CONCENT」の4種類に分かれている。
CHAINとして展示されているのはリストバンド形態のもの。こちらは例えばRFIDなどを埋め込むことで、在宅していることを検知させたり、どこかに出かけたときに商品決済に利用できるといったイメージだ。
「プロダクトが生活になじむことが重要」と語るのは、今回のプロダクトデザインを手がけた横関亮太氏。「CHAINを身につけている、例えばおばあちゃんが外に出かけたとしたら、CHAINのデバイス情報をROLLが検知して、その知らせがお母さんに行くといった感じですね。そしておばあちゃんがレストランに入ると、アレルギーなどの情報が伝えられ、体に悪いものがのぞかれた形で提供される。もの同士のつながりや、人と人と同士のつながりをイメージしています」(横関氏)。
■ITに詳しくなくても使える!生活になじんでいくことが目標
こうした製品を使うに当たっては、ITリテラシーが語られることが多いが、「そういった垣根は取っ払いたい」と横関氏は語る。リテラシーが高くても低くても、IoTが生活になじんでいくことを目標にしているという。
■日常生活をより便利に
MONITORについては、円状のデバイスを冷蔵庫に取り付けておけば、ものの消費期限などが分かる、といったイメージ。こうしたことは、冷蔵庫の中にROLLがあれば、MONITORと組み合わせることで実現できるという。「(卵などが)ないといった知らせを受けたお母さんが子供に『買ってきて』と伝え、子供はCHAINで決済して買ってから帰ってくる、ということもできる」(横関氏)。
■なじみやすいデザインを
こうしたデバイスをデザインするときには、よくあるような「白物家電」ではなく、もっと生活になじむようなデザインをすべきだと語る横関氏。「革の質感だったり、アクセサリのようなものだったり、コンクリ調のものや石みたいな質感4のものなどにトライをしている。コンセプトとして質感を生活になじむものになるようトライしている」(横関氏)。
ROLLだが、コンセプトモデルでは円柱状のデバイスが4つに分かれて活用できるようになっている。センシング機能があり、1つであればデバイスの存在を検知できるほか、2つに組み合わせると、モノの移動について検知することができるそうだ。
このためROLLについては事前に実証実験を行っているとのこと。利用しているのは赤外線センサーなので、カメラなどと違い、プライバシーについて気にしなくても設置できるのが特徴だ。
会場でも、青山のAREA Tokyo、池袋のジュンク堂書店、Bridge COFFEE、TENOHA DAIKANYAMAに設置されているセンサーの情報が分かるようになっていた。一見すると額縁にかかったイラストに見えるが、人が来場するとカウントされ、上から水滴が落ちてきて水がたまり、水のたまり具合でどのくらいの人が来たのかが一目で分かるようになっている。「表現1つにとっても、人になじみのあることが大事」(横関氏)。
CONCENTは、好きな機能を足して使えるコンセント。スピーカーやWi-Fiなどを組み合わせて使うことを想定している。Wi-Fiがあれば、どこかほかのところに持って行ったりしても、設定を変更することなく利用できる。また加湿器やエアコンと組み合わせるのであれば、湿度センサーの機能を持つCONCENTを電源と組み合わせて、どのくらいの湿度になったらオンにする、といった活用もできる。ちなみに横向きでも組み合わせられるのが横関氏のこだわりとのことだ。
■ 会場外ではROLLとフラワーアートを組み合わせた展示も
TENOHA DAIKANYAMAの中庭には、ROLLとフラワーアートを組み合わせた展示も行われている。具体的には、人がフラワーアートに近づくとセンサーが感知し、水槽に気泡が上がるというものだ。
こちらを手がけたのはフラワーアーティストの田中孝幸氏だ。今回のテーマは呼吸。泡が出ることで呼吸しているイメージを表しているとのこと。「自分の行動がどこかで何かのひと呼吸に繋がっているという、アートに主体的に関わることで一部になれるという感覚と、普段は意識していない生き物の呼吸に自分が関わるという創造性をやってみたいと思った」(田中氏)。
また会場のオープンが9時から23時までなので、1日から夜まで、陰と陽をどれくらいの時間で見せられるかを考えたのだそう。「昼間は光を当てつつ陰影を見せて。植物も朝の様子と夜の様子と違う。どのように皆さんの感覚を刺激できるのかという試み」と語る田中氏。
ちなみに、花の管理はすごく大変だそうで、生き物なので言うことを聞いてくれないという。今年は猛暑だったので、通常の管理をしていても、速いスピードで枯れてしまったのだとか。「人間だったら聴診器や呼吸で見えるけど、花は見えない。でもちゃんと生きている」(田中氏)。今年の夏はそれを特に思って、呼吸を可視化できたらと思ったことが、今回のテーマに繋がったのだそうだ。
いかにも機械といった風情とは一線を画すIoTデバイスたち。IoTが叫ばれてから、なかなか思うように浸透していかない理由は、デザインにも大きな理由があるのかもしれない。
今回のDESIGNART2018では、生活の中に入ってくるテクノロジーとアートが融合し、自然に見える形が完成している。今週末まで開催されているので、時間を作って覗いてみることを強くおススメしたい。
■Connected Lifestyle展示概要
日時 :2018年10月19日~10月28日
プロダクト展示(& STYLE STORE)11:00~20:00
フワラー展示(中庭):平日9:00~23:00 土日祝11:00~23:00
場所:TENOHA DAIKANYAMA(東京都渋谷区代官山町20-23 TENOHA 代官山)
主催:DESIGNART 実行委員会
■Connected Lifestyle
■DESIGNART TOKYO 2018
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