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なぜ、デジタルガレージは音楽レーベルを立ち上げたのか?「Studio Garage」に見る“コンテクスト経営”の実験

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株式会社デジタルガレージは2026年2月14日(土)、東京渋谷区の代々木公園で開催された「DG New Context Festival 2026」において、新音楽レーベル「Studio Garage」の立ち上げを発表した。ステージにはMIYACHI、jan and naomi、Ryu Matsuyamaらジャンルを横断して活躍するアーティストが集結。音楽と映像、ドローンなどのテクノロジー演出が融合するライブが展開され、都市・渋谷の空間そのものが巨大な表現装置へと変貌した。

無料開催ながら大規模な演出を伴う本イベントは、多くの観客を惹きつけ、強いメッセージを発した。ステージ前方には早い時間から人垣ができ、パフォーマンスが始まると歓声が一斉に上がった。スマートフォンのライトが揺れ、ビートに合わせて体を揺らす観客の姿が広がる。

注目すべきは、その豪華さや話題性だけではない。オンライン決済やフィンテック、スタートアップ投資を主軸とするテクノロジー企業であるデジタルガレージが、なぜ音楽レーベルを立ち上げるのか。本プロジェクトの核心に迫る。

■音楽×テクノロジーが生み出す“体験の再設計”

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当日のライブは単なる音楽イベントではなかった。映像演出や空間設計、さらには日暮後のドローンとの連動演出など、複数のテクノロジーが横断的に組み込まれていた点が特徴的だ。観客はステージを「見る」だけではなく、都市空間全体を通じて体験する構造になっていた。テクノロジーが主役になるのではなく、文化体験を支える基盤として溶け込んでいる。

デジタルガレージは2025年に30周年を迎え、長年にわたりオンライン決済やフィンテック、スタートアップ投資を手がけてきた。いわばBtoB中心のインフラ型企業で、一般消費者からは見えにくい存在だ。しかし今回の「Studio Garage」は、その“見えにくい技術”を体験へと翻訳する試みとも言える。

同社が掲げる「From Context to Impact ―文脈をつなぎ、社会を動かす」というテーマは、単なるスローガンではない。音楽という最も感情に訴えるメディアを通じて、テクノロジーを社会実装する。その具体的な実験場が、このイベントだった。

■なぜテック企業が音楽レーベルを持つのか

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では、なぜデジタルガレージは音楽レーベルという形を選んだのか。通常、こうした企業が自社ブランドでカルチャー領域に踏み込むケースは多くない。

背景にあるのは、AI時代における競争環境の変化だ。技術そのものは急速にコモディティ化し、差別化が難しくなっている。アルゴリズムやインフラだけでは企業の独自性を打ち出しにくい。そこで問われるのが「どのような文脈で技術を使うか」である。

音楽は、国境を越え、世代を超え、感情を共有できるコンテンツである。さらにライブというリアルな場は、コミュニティを形成する力を持つ。企業がそのプラットフォームを持つことは、単なる広告やスポンサーシップとは異なる意味を持つ。企業自体が文化の発信主体へと踏み出すからだ。

新レーベル「Studio Garage」は、事業の多角化というよりも、企業ブランドの再定義に近い。テクノロジー企業がカルチャーの文脈を内包することで、自社の存在意義を拡張しようとしているのである。

■「Japan Outbound」とコンテクスト経営

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今回のイベントは「AIの時代、日本から世界へ― JAPAN Outbound―」をコンセプトに掲げる。坂本龍一氏へのトリビュートも象徴的だ。坂本氏は日本発の音楽を世界に届けた存在であり、テクノロジーと芸術の接点を体現してきた。

デジタルガレージは、その姿勢を現代に置き換えようとしている。AI全盛の時代において、日本発のテクノロジーやカルチャーをどう世界へ発信するのか。その問いに対する一つの回答が、音楽レーベルの立ち上げである。

企業活動を「事業ポートフォリオの拡張」として捉えると、音楽レーベルは周辺領域に見えるかもしれない。しかし、同社が目指しているのは、都市・技術・文化を横断する“コンテクストプラットフォーム”の構築。都市で実装し、文化として体験させ、そこから新たな価値を生み出す。この循環を設計することこそが、同社の戦略の中核にある。

音楽はその最も象徴的な装置である。ライブは人を集め、共感を生み、物語を共有する場となる。そこにテクノロジーが組み込まれることで、企業は単なる機能提供者から、文化の設計者へと立場を変える。

■音楽とアーバンスポーツで描く“新しい文脈”の実装

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Studio Garageのローンチライブには、レーベル始動を象徴するアーティストとして ラッパーの MIYACHI 氏をはじめ、 ジャンルやバックグラウンドを越えて活躍するアーティストが登場し、代々木公園の空間に多彩な音楽体験を生み出した。

「URBAN SPORTS」では、ブレイキン、BMX、パルクールといった世界的に広がるアーバンスポーツやダンスを、和楽器など「和」の表現と掛け合わせて展開。

代々木公園という都市の中心で、グローバルなストリートカルチャーと日本の伝統文化が融合し、今までにない新しいコンテクストと創造が生まれた。文化と技術、人と人をつなぎ、境界を越えて社会へ広がる "力"へと変わっていく可能性を示した。

■企業は“機能”から“文化装置”へ

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AI時代において、企業の競争力は単なる技術力だけでは測れない。どのような世界観を提示し、どのような文脈を生み出すのかが問われる。

「Studio Garage」は、音楽事業への参入というよりも、企業そのものを文化装置へと進化させる試みだ。決済や投資といった機能的事業を土台にしながら、その上に都市規模のカルチャー体験を重ねる。そこから生まれるのは、単なる売上ではなくブランドとしての存在感である。

テクノロジーを社会の中でどう体験させるのか。都市の空間で、音楽というメディアを通じて提示する。その実験が「Studio Garage」だとすれば、デジタルガレージは今、企業の役割を再定義しようとしているのかもしれない。

音楽レーベルの立ち上げはゴールではない。コンテクストを設計し、社会に実装するという長期戦略の一歩に過ぎない。AI時代において、技術を“文化”へと昇華できる企業がどこまで世界に影響を与えられるのか。その答えは、「Studio Garage」の今後の実装プロセスの中で明らかになる。

テクニカルライター 脇谷 美佳子


株式会社デジタルガレージ

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レーベルで聴くジャズ名盤1374
小川 隆夫
シンコーミュージック
2020-09-28

「デジタルガレージ ファーストペンギンアワード 2017」を開催!2017年は世界的アーティストの坂本 龍一氏に授与

「デジタルガレージ ファーストペンギンアワード 2017」

株式会社デジタルガレージ(DG)は、「デジタルガレージ ファーストペンギンアワード 2017」の授賞式を2017年8月29日に開催し、世界的アーティストとして活躍する坂本 龍一氏に授与した。同イベントは科学技術、芸術、スポーツといった分野で世界を舞台に独創的な挑戦を続ける人を讃えるとともに、今後の活動を支援することを目的とし創設された。

■坂本 龍一氏の活動を評価
DGは創業間もないころから、失敗するリスクをいとわず新たなことに挑戦する姿勢を「ファーストペンギン・スピリット」と呼び標榜してきた。海の中にいる獲物を得るために自らを危険にさらすことを覚悟して、氷床から真っ先に海に飛び込むペンギンになぞらえたものだ。「デジタルガレージ ファーストペンギンアワード」は、このファーストペンギン・スピリットを、世界を舞台に体現しながら独創的な活躍をすると同時に、こうした精神を伝えることで後進の育成に積極的に取り組んでいる人を対象にしている。

坂本 龍一氏は、デビュー直後から世界を舞台に最先端のテクノロジーを駆使した音楽活動を展開し、日本初のインターネットライブやソーシャルメディアを活用したプロジェクト「skmtSocial Project」などのインターネットの波に乗った枠にとらわれない独創的な挑戦を続けている。近年では、森林保全団体「more Trees」や、東日本大震災被災地の幼稚園・小・中・高校に対して、学校楽器備品の点検・修理や音楽活動支援を行う「こどもの音楽再生基金」を設立。楽器修復を終えると「東北ユースオーケストラ」を設立し音楽を通じた被災地支援を続けている。

また、テレビやWebを通じて音楽の魅力を語り、教え、演奏する音楽番組を展開している。こうした枠にとらわれない独創的な挑戦、自身の経験をもとにグローバルな視野に立って後進の育成にあたる姿勢が「デジタルガレージ ファーストペンギンアワード 2017」にふさわしいと判断された。

■坂本 龍一氏のコメント
「友人の伊藤 穰一が設立と運営に関わるデジタルガレージさんより『ファーストペンギンアワード』をくださるとのご連絡をいただいた。まず賞の名前が洒落ている。仰々しくないのがいいと思い、遠慮なく頂戴することにした。しかし『ファーストペンギン』って? 確かに、70年代よりコンピューターを使って作曲したり、世界で初めてサンプラーを使ったアルバムを作ったり、95年には日本初となるライブのインターネット配信をしたり。

(世界ではストーンズに先を越されて2番目だったのが悔しい)中国で日本人初のコンサートを開いたのは96年だった。翌年には音楽著作権管理の方法に異議を唱えるための勉強会、MAAを立ち上げたりもした。同じ年のツアーではインターネット中継にインタラクションを大いに取り込んだ。舞台裏には何十人ものネットや各社のコンピューター技術者が大きな部屋を占拠し、総額で億を軽く超えるようなコンピューターが並んでいた。

みんなが『壮大な実験!』と喜んで参加してくるような古き良き時代だった。飛び込みまくりである。しかし、そういう伊藤 穰一もデジタルガレージの林CEOも、やはりファーストペンギンだ。これからも一緒に大海原に飛び込みたいと思っている。本日はすばらしい賞を与えてくださり心から感謝します。」
坂本 龍一

株式会社デジタルガレージ

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リスク・オン相場再始動!中小型株で勝負(2) 注目銘柄を斬る【ビジネス塾】



オリンピック東京開催決定を機に、年初のようなリスク・オン相場となってきた。日経平均、TOPIXは典型的な三角保ち合いを上放れ、こうなると小型株での値幅取りもより活発化しよう。先週に続き、注目の中小型株を取り上げる。


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デジタルガレージ、日通とネット通販支援の合弁会社を設立へ

株式会社デジタルガレージは2010年3月26日、同日開催の取締役会において、日本通運株式会社と共同で合弁会社を設立し、フルフィルメントサービスの提供事業における業務提携を目的とする、合弁会社設立に関する基本合意書の締結を決議したと発表した。

1.業務提携の理由
業務提携の理由だが、日本の通販市場は堅調に拡大を続けているが、特に最近のEコマース市場の伸長は著しく、さまざまな業種からの通販市場への参入が相次いでいる。

こうした動きを背景に、販売、受注から決済、在庫管理、物流、代金回収までを一貫して提供し、より効率的でコスト低減を可能にするフルフィルメントサービスの選択は、Eコマースを運営する上で成功の鍵となっている。

しかしながら、Eコマースにおいてインターネット上でのマーケティングから物流までをトータルにサポートできるフルフィルメントサービスがなかった。

今回、こうした課題の解決を目指して、主に中小のEコマース事業者を対象に、日通のもつグローバルな「物流」、「倉庫」のノウハウとネットワーク、そしてデジタルガレージのもつ「IT」、「マーケティング」、「ファイナンス」に関する知見を組み合わせ、「リアルとバーチャル」を結びつけた統合サービスの提供を実現するために合弁会社設立を通じた業務提携を行うというもの。

両社の各機能を統合することにより、対応のスピードアップと低コストでのサービスを行うことが可能となり、将来的には国内と国外を結ぶクロスボーダーの通販事業にとっても有効なソリューションが期待できる。

両者の結びつきは、リアルとインターネットがスムーズに結びつくことでもあり、インターネット上での販売を拡大していこうとする通販事業者の顧客獲得と事業拡大を強力に支援していくとしている。

2.合弁会社の設立の理由
合弁会社の設立の理由については、サービスの提供において、顧客に対する迅速な対応やよりきめ細かな運用体制、必要な情報の集約などが求められる。それらを実現する上では、両社の専任スタッフが常に連携して動ける組織体制が不可欠なものとなる。

また、顧客に対してスピーディーできめ細かな対応を可能にするには、業務的な連携にとどまらず、独立した法人として高い機動力を持ち、かつ両社のビジネス基盤を支えに、業務上関係する外部機関や取引先に対する柔軟な対応力を持つことが、事業推進において有効であると判断したとしている。

日本通運株式会社との業務提携及び合弁会社設立に関する基本合意書締結の決議のお知らせ(PDF形式)
株式会社デジタルガレージ

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関口哲司

日本大学大学院理工学研究科後期博士課程修了。理学博士。日本物理学会会員。データサイエンティスト協会会員。IT系記事を中心に著書多数。原稿の依頼歓迎。

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