「そうだ京都、行こう。」はJR東海が主催する観光キャンペーン。これまでITライフハックでは「刀剣乱舞ファンも楽しめる!JR東海の「そうだ 京都、行こう。」× 京(みやこ)のかたな展ツアー」「初秋の京都でモシュ印とコケ寺リウムを楽しむ旅~初日、東福寺、旧三井家下鴨別邸、常寂光寺~」「初秋の京都にオリジナル苔アートが登場。苔の名所 5寺院で「モシュ印・コケ寺リウム」展示」と数多くのツアーに参加してきた。今回も「春はあけぼの」をテーマとしたツアーが企画されたので、そのレポートについてお届けしよう。なお本記事のほかにも転法輪寺、東寺、清水寺、平等院を回ったレポートが掲載されているので、そちらも参考にしてほしい。
ツアーは2019年1月17日、18日の両日に渡って開催された。17日はまず転法輪寺を回ったあと建仁寺へ。かなりの広さがある建仁寺だが、塔頭寺院である両足院と正伝永源院を訪ねてきた。なお今回は写真を撮影して掲載しているが、特別に許されたものだ。文化財や茶室の内観は、通常は撮影することができないので留意してほしい。
■現代の雪舟が描いたふすま絵を見ることができる「両足院」
両足院でまず訪ねたのは、現代の雪舟とも言われている七類堂天谿氏が、新しく7年の歳月をかけて練り上げ、描いたふすま絵だ。3部屋にわたって描かれており、中央にはお釈迦様とその弟子たちが、西側面には両足院の開山である龍山徳見禅師が描かれているほか、東側面には建仁寺開山の栄西禅師が象に乗った姿も描かれている。
通常、ふすま絵などを収める時には、作家がアトリエで描くのが普通だが。今回は副住職と天谿氏が徹底的に語り合って作り上げたそうだ。とても迫力のある絵となっているので、ぜひ拝観しておきたいところだ。
そして今回の特別公開ならではの展示が、慶長年間に描かれた長谷川等伯による「竹林七賢図屏風」と「水辺童子図」だ。17世紀に描かれた障壁画が今でも残っていることがとてもありがたい。京都を訪ねているからこそ出会える水墨画たちを徹底的に堪能したいところだ。
こうした絵画をじっくりとめでたあとは、その庭に目を向けてほしい。庭に特徴がある禅寺は多いが、両足院もまさにその通り。見事に配置された石たちと中央に存在する池。冬の寒々とした光景でもわびさびを感じるところがなんともいい。
なお両足院では、2月1日~25日に伊藤若冲による「雪梅雄鶏図」が、2月26日~3月18日には「しろき観音像」が展示されることになっている。
■細川家と織田有楽斎につながる「正伝永源院」
続いて訪れたのは正伝永源院だ。ここには織田信長の弟で、家康の時代まで生き延びた織田有楽斎の墓があることでも有名だ。
正伝永源院は実は、「正伝院」と「永源庵」という2つのお寺から構成されている。正伝院は鎌倉・建長寺の蘭渓道隆の弟子が作ったもの。しかし2代目以降に荒廃してしまう。それを再興したのが有楽斎だ。ちなみに有楽斎が居を構えたのが東京の有楽町あたりということで、「有楽町」という名前になったとか(諸説ある)。数寄屋橋のあたりにお茶室があったんで、「数寄屋橋」という名前も残ったと言われている。
一方の永源庵は肥後・細川氏の菩提寺。そのため永源庵は栄えていくが、明治に入って廃仏毀釈運動の影響もあり、正伝院と永源庵が合併することになった。正伝院には有楽斎が作り上げた茶室があったのだが、明治に入って移築されてしまい、20年前に復元したのだそうだ。
正伝永源院を訪れた時にまず見てほしいのは、狩野山楽による「蓮鷺図(れんろず)」。狩野山楽は秀吉子飼いの武将だった。ある時秀吉の目の前で白砂につえで絵を描いたのだという。それを気に入った秀吉が狩野派に入れて、京都狩野派の始祖となっていくのだが、大坂夏の陣で豊臣家が滅亡したあとに、残党狩りの標的となってしまう。命乞いをしたのは有楽斎だった。そのお礼に正伝院に奉納されたという由来があるのだ。
蓮鷺図はその名前の通りハスとサギを描いているが、人生を模したものだと言われている。つぼみから満開、そして散り、種を残して子孫をつないでいく。とても素晴らしい障壁画なので、ぜひとも見てほしいポイントだ。
なおここには、元首相・細川護熙氏による障壁画もあり、蓮鷺図の両隣の部屋に収められている。ほかにも期間限定の特別展示として、狩野山楽が描いた「織田有楽斎画像」が展示されていた(1月27日まで)。
正伝永源院にもきれいな庭があるので、障壁画を堪能したあとは庭に癒やされてみてはいかがだろうか。正伝永源院の次の公開は3月1日からだ。
このあとは2日目に訪ねた龍安寺、仁和寺をご紹介していきたい。
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