モトローラ・モビリティ・ジャパン合同会社は、Androidスマートフォン「motorola edge 50 pro」を2024年7月12日より発売した。本端末はモトローラ史上最速、最短19分※のTurboPower充電に対応したパワフルなプレミアムモデルだ。手になじむカーブエッジやヴィーガンレザー仕上げの背面など、美しさと使いやすさを両立したデザイン。光学手ぶれ補正やレーザーオートフォーカスなどの機能を備えた高度なカメラシステムを搭載している。
また、おサイフケータイや防水・防塵に対応し、日々快適に利用できる5Gスマートフォンだ。発売直後に入手し、1週間ほど使ったので、レビューをお届けしよう。
※ 同梱の充電器利用、画面消灯・急速充電の使用設定時。1~100%までの最短充電時間。使用環境などにより変動。Motorolaラボにて25℃環境下でのテストに基づくもの。
■motorola edge 50 Proとは?
motorolaは通信と半導体の老舗で、数多くの歴史を作ってきた会社である。特に携帯電話端末を世界で初めて商品化したことでも有名だ。長い歴史の中で事業の分社化などがあり、分社後、スマホメーカーとしてのmotorolaは、Googleの傘下の時期を経て、現在はLenovoの子会社となっている。
同社はこのところ日本市場を重要視しており、フラグシップの折りたたみスマホrazrシリーズから、今回取り上げるミドルハイのedgeシリーズ、そしてミドルレンジのgシリーズ、エントリーモデルのeシリーズにいたるまで製品ラインアップを充実させてきた。エントリーモデルを除くほとんどの機種でおサイフケータイのような日本独特の仕様にも対応している。
motorolaの新製品「edge 50 Pro」は、edgeシリーズの最新機種で、125W急速充電や光学3倍ズームを特徴にしている。順に主な特徴を見ていこう。
■スタイリッシュで手になじむボディー:カーブエッジとヴィーガンレザー
edge 50 Proを手に取ると、6.7インチの大画面にしては小さく、薄く感じる。そして手になじむ感じがする。たぶんこれは、ディスプレイを含むボディー両側のエッジがカーブしているのと、ボディー背面の素材、ヴィーガンレザーのソフトな手触りのせいではないだろうか。ヴィーガンレザーとは、動物の皮を使用せずに革の見た目や質感を再現した素材のことである。ただ、本端末の場合は革というより布に近い質感と感じる。
筆者は2色のカラーバリエーション(ブラックビューティ、リュクスラベンダー)の中からブラックビューティーを選んだ。なかなかスタイリッシュである。SIMフリー版のこの2色に加え、ソフトバンクではホワイト(バニラクリーム)も選べる。ただし、メモリ容量など細かいスペックが異なるので注意が必要だ。本稿はSIMフリー版の前提で記載する。
■基本性能はもちろん素晴らしい
Snapdragon 7 Gen 3プロセッサ、12GB RAMを搭載している。動作はきびきびしている。特別な処理能力が必要な3Dゲーム以外はしっかり動きそうな性能である。ディスプレイは、大画面6.7インチ、2,712 x 1,220ドットの有機ELで、解像感、発色ともに素晴らしい。左右方向にエッジがカーブしたディスプレイも特徴的である。ボディ寸法は約161.23 x 72.4 x 8.19mm(レンズ部を除く)、重さは約186gとなっている。この画面サイズでは200gを超えるスマホが多い中で、軽い方といって良いだろう。しかも防水・防塵性能が「IP68」というのも優秀である。
ソフトウエア面では、Android 14が搭載されており、ユーザインターフェースはオリジナルのAndroidを基本にしているので違和感が少なく、相変わらずの好印象である。それでいてちゃんと独自の便利機能が追加されている点が気に入っている。
たとえば、本端末を握る手を2回連続で画面横方向に素早く回転するように振ると、(待ち受けのロック状態を含む)どの画面からもカメラが起動する。シャッターチャンスを逃がさない、便利機能だ。
PC連携機能は「Smart Connect」と呼ばれ、以前より機能強化されているのも良い点だ。PCから本端末を操作したり、説明しきれないくらい多機能である。また、今回面白い試みがされている。「Moto Unplugged」という新機能で、専用のホーム画面に切り替わり、あらかじめ設定した機能しか使えないように意図して制限するものだ。スマホのおかげで忙しさから逃げられないユーザに、無理矢理にでも安らぐ時間「デジタルデトックス」を提供する狙いのようだが、ぜひ興味のある方は効果を試してみてはいかがだろうか。
■無線機能は老舗motorolaの得意分野
本端末はもちろん5G対応で、DSDV(Dual SIM Dual VoLTE)という仕様である。「DSDV」とは、2回線同時に待ち受けでき、通話中には同じその回線で通信が可能という仕様のことだ。個人用と会社用の回線を同時に使うなどが可能だ。ただし、本端末はnano SIM 1回線 + eSIM 1回線で合計2回線という仕様である。SIMトレイは一見2スロットが用意されているように見えるが、片方にX印が書かれており、nano SIM 1枚しか利用できないので注意が必要だ。
無線LANはWiFi-6Eに対応しており、最近普及が本格化している6GHz帯が使える。アクセスポイントにもよるが、従来の2.4GHz帯、5GHz帯に加え、6GHz帯が使えると、より広いバンド幅で高速な通信が可能である。実際に筆者宅では6GHz帯アクセスポイントを導入し使っているが、筆者マンション周辺の2.4GHz帯の混み具合とは対照的に6GHz帯は空いていて、ほぼ独占して使え、とても快調である。
BluetoothはVer 5.4で、そのほか、NFC/おサイフケータイに対応しているのはうれしい。GNSS(衛星を用いた測位システム)では、GPS(米)、GLONASS(露)、Galileo(EU)、BDS(中国)、QZSS(日本)など世界中の主なシステムに対応している。アプリ「GPSTest」にて確認した。
アプリ「GPSTest」の画面
■光学3倍ズーム、4K動画撮影、AI機能など、充実のカメラ機能
本端末のカメラはなかなかの充実ぶりである。背面カメラは3眼(メイン50Mピクセル、超広角13Mピクセル、望遠10Mピクセル)で、インカメラも50Mピクセルと高性能だ。しかも、望遠は光学3倍ズーム(デジタルズーム30倍まで)、メインカメラには光学手ぶれ補正機能が付いている。動画撮影は4K 30fpsが可能だ。
「moto AI」と呼ばれるAI機能を使った撮影が可能だ。
たとえば、ショット最適化の機能として、自動調整、シーン検出をAIで行っているという。動画撮影時の手ぶれ補正にもAIが使われているようだ。
スキャン機能は「Adobeスキャン」の技術を使ってドキュメントを撮影すると、文書の四角い紙面の各頂点を自動的に検出して、きれいに四角に整形して読み込み、PDF、JPGの形式で保存される。スキャナ不要とまではいわないが、メモ的な保存には十分で便利な機能である。
他にも説明しきれないくらいの撮影モードがある。スポットカラー、ティルトシフト、デュアル、タイムラプス、ナイトビジョン、長時間露光、Ultra-Res、スローモーション、パノラマ、フォトブース(美顔モード)、などである。撮影後に利用できるAIアプリもある。「Style Sync」は撮影した写真から柄や模様を使って壁紙などを生成するAIアプリだ。
編集マジックはGoogle PixelというスマホのCMでおなじみのGoogleフォトのAI機能で、本端末でも利用できる。(ただし、Pixelシリーズとはバージョンが違うかもしれない)
実際に撮影した写真や動画を掲載するので参考にしてほしい。
【写真】
【動画】
YouTube:https://youtu.be/AaAZjTTybho
実際に撮影してみると、表現力、解像度の高さ、色の表現、ボケ味、手ぶれ補正など、かなり優秀で、満足のいく写真が撮れた。本端末の価格で光学3倍ズームが搭載されたのはとてもうれしい。デジタルズームで30倍まで拡大するとさすがに画質的に満足とはいかないこともある。
動画の撮影でも4Kの解像感が素晴らしい。撮影時の手ぶれ補正は完璧といえないまでも効果が出ており、この点も期待を上回っている。これまで長い間一眼レフやビデオカメラをかついで旅行に出かけていたが、スマホでここまでの写真やビデオが撮れるのなら、そんな大きなカメラはいよいよほぼ不要になるかもしれない。そんな満足感である。
■バッテリー:最大125Wの「超」急速充電が便利
本端末は4,500mAhの大容量バッテリーを搭載している。大容量なので、急速充電機能は必須だが、本端末は最大125Wで充電可能だ。同梱のACアダプタを使い、最短19分でフル充電できるという。TV CMでご存じの方もいると思うがソフトバンクではこのレベルの急速充電を「神ジューデン」と呼んでいる。確かにこれまでの急速充電の常識を超えるレベルである。ここでは「超急速充電」と呼ぶことにする。
以下は実際にバッテリーテストをしてみた結果である。
テストには「シンプルバッテリーグラフ」というアプリを利用した。
YouTube連続再生テストの結果
約17時間14分再生できた。なかなか優秀である。
超急速充電のテスト結果
電池残量2%から97%まで充電するのにかかった時間は約26分だった。充電中、電池がかなり熱を持つため、途中で充電速度に自動的に制限がかかり「最短19分」とはいかなかったが、それでも超急速充電といえそうだ。別の測定器によると約40W平均での充電ができているようである。これだけ速い充電ができると、外出する直前に着替えたり荷物を用意している間に充電が済んでしまう。従来の充電スタイルが全く変わってしまうくらいの便利さである。
同等レベルの急速充電ができる他社の機種ではACアダプタが別売のことが多いのに、本端末では同梱なのは大変うれしいことだ。125Wで充電というのはこの専用ACアダプタで充電した場合の最大能力であるため、同梱なのは親切というより、当然かもしれない。
ちなみに、手持ちの100W ACアダプタ(PD規格汎用品)を使った場合、約25Wの充電となった。これでも「急速」だが、本端末専用ACアダプタの約40Wに比べるとかなり遅いということになる。ACアダプタはこのように、メーカーによって独自仕様の部分があり、汎用品では最大能力を出せないことがあるのである。
本端末はワイヤレス充電の規格「Qi(チー)」に対応しており、最大15Wの充電が可能だ。USB接続の充電の方が効率が良いとはいえ、Qiの充電器の上に置くだけで良いのは便利だ。ボディー背面中央はQi2の充電器の磁石が吸着するようになっていて、便利である。iPhoneのMagSafeのような使い方ができそうなので、筆者も周辺機器を物色中である。
■ハイレゾ対応、高音質の音楽が聴けてうれしい
本端末はDolby Atmos対応のステレオスピーカーを搭載していて、スモールサイズとはいえちょっとした音楽や映画を楽しむのにも向いている。ただし、イヤホン/ヘッドセット用ジャックはない。motorolaの公式サイトには明記されていないが、Bluetoothのハイレゾコーデックにしっかり対応しているのはうれしい。おかげでハイレゾ対応のBluetoothイヤホンを使って高音質の音楽再生が可能だ。
コーデック(Codec)とは、音声を圧縮して電波に乗せ、送るデジタル技術である。ハイレゾとは「High-Resolution Audio」のことで、CDを超えた、ある基準以上の高解像度・高音質デジタルオーディオを意味する。ちなみに「Bluetooth Codec Changer」というアプリで調べたところ、本端末は、aptX Adaptive、LDAC、AAC、SBCなど、主要なBluetoothコーデックに対応しており、ハイレゾ対応が充実していることがわかった。
実際に手持ちのワイヤレスイヤホン2機種(LDAC対応の「Huawei FreeBuds 5i」と、aptX Adaptive対応の「DENON PerL Pro」)をそれぞれ接続してApple Musicのハイレゾ音源で音楽を楽しんでいる。いずれもCDを超える、なかなかの音質である。
Bluetooth Codec Changerの画面。Huawei FreeBuds 5iとBluetoothで接続し、ハイレゾ音楽を再生しているところ。接続先イヤホンとスマホの両方の利用可能なコーデックが表示されている。
Bluetooth Codec Changerの画面
■買って良かった motorola edge 50 Pro
さまざまな本端末の特徴をレビューしてきたが、やはり実際に使ってみて魅力に感じたのはカメラの充実と超急速充電だ。もちろん、画面がきれいだし、処理性能も十分だし、とにかく完成度が高い。もちろん、欠点のようなものもない。motorolaのスマホは日本における知名度はまだ低いが、世界の携帯電話の歴史を作ってきた老舗である。もっとファンが増えてしかるべきメーカーだろう。価格はmotorola公式オンラインショップで79,800円(税込)である。筆者はIIJmioのキャンペーン価格(条件あり)で49,800円(税込)で購入した。とにかくお薦めできる。チャンスがあったらぜひ手に取って使って、試してみてほしい。
テクニカルライター 鈴木 啓一
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