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JICA

長野県駒ヶ根市とJOCAが挑むリゾートテレワークの実態を取材してきた

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ITライフハックではこれまで、長野県の各市町におけるテレワークについて、「見てきました!“夢のリゾートテレワーク”「ワークラボ八ヶ岳」でテレワーク実地体験」、「リゾートテレワークをするなら軽井沢で!都心から1時間の快適なロケーション」、「森林効果で仕事もはかどる!長野県・信濃町ノマドワークセンターを訪ねた」、「リゾートワークの魅力をたっぷり紹介!『信州リゾートテレワークフォーラム IN 東京』」といった数々の記事でその魅力をお伝えしてきた。今回お届けするのは、長野県駒ヶ根市でのリゾートテレワーク(ワーケーション)の取り組みについてだ。

■2つのアルプスを望みながら仕事ができる環境
駒ヶ根市についてご存じない方にざっとご説明しておくと、駒ヶ根市は長野県の南部、“伊那谷”の中央に位置する。総人口は3万2,000人程度。東京からは高速バスで3時間50分程度の距離で、中央アルプスと南アルプスが見えるため、絶好の景観を望めるのが特徴だ(市のキャッチフレーズも“アルプスがふたつ映えるまち”)。地域の産業だが、有名なところで言うと「養命酒」を作っている養命酒製造が唯一工場を置く場所がここだ。またそのほかの酒造メーカーもあり、日本酒や地ビール、ワインなどが多く作られているそうだ。

そして特徴のもうひとつが、国際協力機構(以下、JICA)青年海外協力隊の訓練所が駒ヶ根市にあること。全国では駒ヶ根市のほか、福島県二本松市に訓練所がある。JICAと言うと「青年海外協力隊」のイメージを持つ人が多いと思うが、派遣される人は駒ヶ根か二本松、どちらかで訓練を受けることになるそうだ。ちなみに駒ヶ根市にある訓練所は設立から40年経つなど、長い歴史がある。

駒ヶ根市のリゾートテレワーク施設として今回取材したのは「こまがね市民活動支援センター」(通称:ぱとな)だ。ここは公設民営(駒ヶ根市が設置し、こまがね市民活動支援協会が運営する)施設だが、青年海外協力協会(主に青年海外協力隊の帰国隊員によって組織されている公益社団法人。以下、JOCA)の本部機能も併設されている。また、ワーケーション向けとしても利用されており、作業スペースやWi-Fiは誰でも無料で自由に使える。ぱとなの由来は名前からもわかるように「パートナー」の略語から来ている。それには市民活動のパートナー、市民と行政のパートナーシップに基づく協働のまちづくりの拠点であるという意味が込められている。

ぱとなについて、JOCAの増田学さんと駒ヶ根市役所の矢澤国明さんに話を聞いた。

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青年海外協力協会(JOCA)の増田学さん(左)と駒ヶ根市役所の矢澤国明さん(右)。増田さんはウガンダに派遣された経験があるほか、矢澤さんも市役所に在籍のまま青年海外協力隊員としてネパールへ派遣された

――この施設ができた経緯についてお聞かせください

増田さん:2018年の3月に、東京からこちらにJOCAの本部が移転しました。そのときに市や市民活動支援センターと連携しながら地域づくりをしましょう、ということで、この建物をリノベーションしました。1階のぱとなはリゾートテレワークで使えるほか、2階のスペースはJOCAのオフィスとして使っています。

私たちが作りたかったのは、自分たちだけの場所ではなく、誰もが気兼ねなく入れる空間、シェアできるスペース。地域の方と関わりながらステップアップできる場所にしようとの思いで解放しています。

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ぱとな全景

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1階は広々としたリゾートテレワークスペースとしても活用


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奥にはカウンタースペースも用意。棚に並んでいるのはここを訪れる人のマイカップたち

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デザイナーズなど椅子の種類も豊富で、どの椅子で仕事するかも楽しみの一つ

――駒ヶ根市はリゾートテレワークについて、どのような取り組みをされているのでしょうか

矢澤さん:いろいろな地域でリゾートテレワークに取り組まれていると思いますが、私たちとしては“駒ヶ根らしさ”を出したいと思っています。JOCAの拠点もあるので、海外経験がある方が多くいらっしゃいます。また、JICAの訓練所もありますから、そういった機関と連携して、国際色豊かな場所になるようにと考えています。また市の観光を味わっていただきながら仕事をしていただければと思っています。駒ヶ根市は自然豊かですし、ソースかつ丼などのグルメもあります。地ビールや地酒もありますので、そのようなところも駒ヶ根市らしさですね。

増田さん:こちらに来て思ったのは、人がとても温かいということです。それはどの地域でも同じだとは思いますが、駒ヶ根では我々のような東京からいきなり来た者についても、暖かく受け入れていただきました。地域の方しか味わえないような、祭りの事前準備から当日まで関われましたし、同じチームとして見てもらえました。そんな懐の深い、温かい人が多くいらっしゃると思いますね。

矢澤さん: JOCAさんがこの場所に拠点を置いたのが大きかったと思います。別の場所にぽつんとオフィスを構えたとしたら、ここまで地域の方と溶け込めなかったでしょう。それにJOCAの皆さんが、地域に溶け込む努力をされていたのが大きいですね。地域性もあるかもしれませんが、JOCAさんのそうした姿勢がマッチしたのだと思います。

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ぱとなの2階はJOCAが本部として使っている

――今後はどのような方に来てほしいと思っていますか

矢澤さん:ワークとバケーションが合わさった“ワーケーション”、そしてJICAがあり、学びをしている“エデュケーション”、そして一番期待しているのは“コントリビューション”、地域貢献です。我々とは違う目線から地域の課題を見て、それを解決できる人は都会にたくさんいらっしゃると思います。技術や知識をこの地域に生かしていただけるような方に来ていただきたいですね。

増田さん:駒ヶ根の地域、文化、人に関心を持って、好きになる人に多く来てほしいと思います。一過性の、観光だけ、仕事だけ、出張だけでなく、関連性を持って地域とつながり合うことで、この地域も魅力的なまちになってきます。都会の人から地域の方が学ぶことも多いと思いますが、それと同じように、都会の人はこの地域からさまざまなものを学べます。そういう関係性を築いていければと思います。

――駒ヶ根市が目指すリゾートテレワークへの展望についてお聞かせください

増田さん:現在、我々と地域の方、そして駒ヶ根市では、生涯活躍のまちづくりといった構想を練っています。人生100年時代といわれている中で、高齢者が増えていきますが、元気に生活していてもらいたい。日本人だけでなく海外の方も入ってきていますが、彼らにとっても居心地のいい場所になれるような地域を目指しています。社会的排除のない形で地域コミュニティを作ることができればいいですね。

矢澤さん:日本全体の人口が減っていく中で、地方都市の人口減少も避けられません。移住や定住だけでなく、駒ヶ根市に関わりを持っていただけるような方を増やしたいですね。駒ヶ根にちょっと来てみようかとか、1週間くらい駒ヶ根で仕事をしてみようかなど、そういった方たちに来ていただければと思います。

増田さん:リゾートテレワークについては、長野県の7つの市町村で取り組みを開始しています。駒ヶ根らしさは、先ほど矢澤さんが言った4つのポイントが組み合わさって醸し出されていると思います。リゾートテレワークでは、1週間や数日といった短期間でのテレワークを提供しているパターンが多いと思いますが、駒ヶ根市としてはよりロングなスパンでできるようになれば面白いなと考えています。1か月や1年など、期間を延ばしていくことで地域性のある成果も出てくると思いますので、そういうテレワークの場所を目指せればと思います。

矢澤さん:ここはJOCAさんの本部であり、リゾートテレワークスペースでもあります。ここがコワーキングスペースになることで、地元の方とのコミュニケーションも進むだろうし、都会から来た方同士のコミュニケーションも生まれていくでしょう。そういったところで何かの発見があればいいと思いますし、JICAさんとも協力して、短期間で語学を学べるような取り組みができたら、駒ヶ根市ならではの特色となります。そうした特徴を出していければいいですね。

■JICAの訓練所を訪ねる
今回の取材では、JICAの訓練所である「駒ヶ根青年海外協力隊訓練所」(JICA駒ヶ根)も訪ねてきた。

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JICA駒ヶ根

JICA駒ヶ根は駒ヶ根駅からタクシーで15分程度の場所に置かれている。1979年に開所された施設だが、ここでは最大で230名以上/一隊次(年間3隊次)の人が訓練を受け、世界各地へと派遣される。訪れた当日も少人数クラスでの英語やフランス語といった語学研修が行われていた。

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取材当日に行われていた英語研修。少数での授業だ

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世界の民族衣装が置かれており、自由に着ることができる

■千畳敷カールを実際に見てきた
駒ヶ根市をよく知っている人であれば、宝剣岳(標高2,931m)直下の通称「千畳敷カール」を思い浮かべないなんて人はいないだろう。駒ヶ根高原にある菅の台からバスでしらび平まで行き、そこから駒ヶ岳ロープウェイで千畳敷駅にたどり着くと、そこで雄大な千畳敷カールを望むことができる。ちなみに千畳敷駅の標高は2,612メートル。索道や鉄道で「駅」と名前の付く施設としては、日本で最高所にある。

千畳敷カールへ訪れたときはあいにくの曇り空だったので素晴らしい風景を余すことなく見ることができなかったが、晴れると下のような見事な風景を拝むことができるのだ。

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秋の千畳敷カール

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春の千畳敷カールの風景

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冬の千畳敷カール

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千畳敷駅にはカフェスペースもある

しらび平駅からは遊歩道が整備されている。そこはシラビソなどの原生林が生い茂っているほか、高山植物もたくさん見ることができる、自然の景勝が広がる。仕事の合間にこうした場所を訪れてリフレッシュできるのも駒ヶ根の特徴だろう。

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しらび平駅の脇を進んでいくと遊歩道がある

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原生林の中を歩いているだけでもリフレッシュする

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急流から滝を望む

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昼食は食堂で駒ヶ根名物の「ソースかつ丼」をいただいた。カツをおわんのふたに移して、キャベツとご飯を混ぜて食べるのが駒ヶ根「ソースかつ丼」の食べ方だ

■魅力ある駒ヶ根市でリゾートテレワーク
ここまでご紹介してきたように、駒ヶ根市の特徴はJICAやJOCAがあるという“国際性”にある。またインタビューでも触れていた、地域外の人が訪れても懐深く受け入れてくれるという、地元の方々の温かさもポイントだろう。東京からはアルプスの向こう側となるので、遠いという印象を抱きがちだが、実際はバスで3時間50分程度であり、乗っていれば到着するのでとても楽に移動できる。時間によっては通常より広いシートを用意している便や、2つの席を独り占めできるタイプもあるので移動も楽だ。バスタ新宿発の高速バスは朝6時45分から30分おきに走っており、終バスは午後9時35分まであるなど、実は交通の便もよいのだ。今回の記事で、駒ヶ根でのリゾートテレワークに魅力を感じてもらえればと思う。

JICA駒ヶ根
青年海外協力協会
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信州リゾートテレワーク
中央アルプス観光

JICA、「いまを知る」SNSアプリ「Jhappy」のAndroid版をリリース

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日本及び世界各国の様々なパートナーと協働し、途上国の開発課題解決のための支援を行っている国際協力機構(JICA:ジャイカ)は、 2017年3月1日に「いまを知る」SNSアプリJhappyのAndroid版をリリースした(iOS版は2016年11月先行リリース)。

このアプリは、誰でも無料でダウンロード・情報発信・閲覧などに利用できるアプリ。 JICAは、既存のHPやSNSに加えてこれを活用し、国際協力支援の現場で起きていることをよりわかりやすく紹介していくとのこと。

また、様々な立場で事業に関わる、または関心のある国内外の人に、情報交換のプラットフォームサービスとして提供することで、より国際協力・交流の現場に近いところからの情報発信、異なる文化や考え方の人々との対話・学びあいの促進に貢献していくとのこと。Jhappyを通して、世界で起きていることを、より身近に感じられるようになるだろう。

■アプリ概要
・名称:Jhappy(ジェイハッピー)
・対応言語:日本語/英語
・配信形式:スマートフォン向けアプリ(iOS、 Android端末)
・利用料:無料
・特徴:
- 国際協力・交流・ボランティアに特化したSNS
- 投稿された国別に情報を閲覧できます。
- テーマ別に投稿を募集するキャンペーンに参加できます。
- 利用に応じポイント・スタンプが獲得できます。
・ダウンロード:AppStore/GooglePlayより「Jhappy」又は「JICA」と検索しダウンロード可能
iOS版: https://appsto.re/jp/keJ0db.i
Android OS版: https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.xenlon.jhappy


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関口哲司

日本大学大学院理工学研究科後期博士課程修了。理学博士。日本物理学会会員。データサイエンティスト協会会員。IT系記事を中心に著書多数。原稿の依頼歓迎。

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