「プロスポーツで切り拓く新しい ビジネス・市場・投資チャンス ~ミクシィのスポーツビジネスの考え方、視界~」と題した特別オンラインセミナーが2020年11月27日(金)〜11月29日(日)に開催した。同セミナーはUBS銀行・UBS証券株式会社が展開するUBSウェルス・マネジメントが主催したもので、収録当日(2020年11月2日)は株式会社ミクシィのプロスポーツ事業部長として千葉ジェッツ、FC東京、ヤクルトスワローズなどのビジネスグロースを統括している石井宏司氏、プロ野球ヤクルトスワローズで選手、選手会会長、監督を務め、現在はスポーツコメンテーターとしても活躍する古田敦也氏が登壇した。
■スポーツビジネスは新規事業
株式会社ミクシィの石井宏司氏は、ミクシィにおけるスポーツビジネスについて説明した。
SNSとしてのミクシィは、モンスターストライクに代表されるスマホゲームが有名だが、スポーツビジネスはこれらのユーザーを増やすために始めたのではなく、第三の柱にするために始めた新規事業であることを強調した。
ゲームビジネスはモンスターストライクで作った遊び場を拡張し、コンテンツ型のビジネスにシフトしている。スポーツ事業もスポーツを中核にしたコンテンツビジネスとしてファンの信頼を得られるように中長期的に取り組んでいる。ゲームビジネスは当たれば大きいボラリティの高いビジネスだが、スポーツは野球ファンがスタジアムに通ってくれるようにロングテール型のビジネスであり、ミクシィとしてこれらを組み合わせられることは、同社の強みであることを説明した。
サッカービジネスに関してはバルセロナを例に、「スペインは経済的に厳しかったがバルセロナは経済的に発展し、投資を受け、観光客も集めていた。人口は160万人で、札幌の196万人より少ない。しかし、インターネットでは札幌の21倍検索されており、インターネットの中ではバルセロナは超大都市、ガウディの建築などもあるが、圧倒的なのはFCバルセロナの存在。世の中のほとんどの人がFCバルセロナやメッシの事を知っている。サッカーを使ってインターネットで都市ブランドを向上したところにリアルに人や投資が集まる。」ということがわかったとして、「ミクシィも東京を根城にしているので、FC東京も同じように育てようと取り組んでいる。」と、都市とスポーツビジネスの関係を説明した。
グローバルな展開に関しては、「今まではコンタクトが難しかったような相手も新型コロナウイルス以降、経済活動が再開している東南アジアに欧米のビジネスプレーヤーが興味を示し、ディスカッションのリクエストが増えている。4月以降50社ほどの新しいディスカッションをしており、(石井氏自身の)LinkedInの繋がりも1000名くらいになっており、日本や日本のサッカーに興味を持ってくれている人が増えている。ベトナムでも、ホーチミンのサイゴンFCとのビジネスアライアンスを組めるようになった」と、ミクシィの認知は大手企業に比べて低いが、FC東京を通した海外への展開が拡大しつつあることを語った。
オーナーとして関わっているBリーグの千葉ジェッツでも船橋市や、スポンサー企業との繋がりも増え、新しいビジネスチャンスが増えており、社会的な信頼度、認知度やブランドも向上しているとして、スポーツビジネスはミクシィの第3の柱として成長していることを明らかにした。
■プロ野球の未来とは?
続いて、元プロ野球選手兼監督で、現在はスポーツコメンテーターとしても活躍する古田敦也氏を迎え、プロ野球について語った。
石井宏司氏は都市型のスポーツの野球とライフスタイルにおいて、ヤクルトスワローズは東京の中心にあり重要だとした。
古田敦也氏はプロ野球ビジネスについて、日本のプロ野球の歴史から、テレビの放映権中心のビジネスから、球界再編問題などもあり、人気が落ちていったが、楽天やDeNAの参入などを経て、昨年は横浜スタジアムでチケットが取れなくなるくらい人気になっていった野球ビジネスの概要を説明した。
プロ野球の16球団構想に関して古田敦也氏は賛成の立場でまたまだチャンスがあり、楽天が東北、日本ハムが北海道で証明したように、東京に一極集中している中で、魅力的な中核都市を作るためには重要な事を説明した。
たとえば、新潟市は人口80万人だが、イチローのいたシアトルよりも大きく、十分盛り上げられる規模だとした。さらに、16チームになれば、地区を分けられるようになり、移動コストも下がり、地域を応援するファンの獲得にもつながるため利点が大きいとした。
ソフトバンクの中国進出に関しては、「グローバルに見るとサッカーチームは田舎にある事が多いが、ファンは世界中にいる事が多く、ローカルとグローバルな活動が必要だ。」と、石井氏は語った。
高校野球が人気の日本とグローバルの違いについて古田氏は、「アメリカはカレッジバスケットが人気なように、地元のフットボールや野球を応援するというマインドは海外にもある」とした。さらに日本では地元で育った選手がメジャーリーグに挑戦する際に応援する姿は健全な形だとした。
コンテンツとしての野球に関して石井氏は、野球YouTuberが増えており、草野球で楽しみながらメーカーとタイアップするユーザーが増えているなど新しいビジネスが増えていること。中国へのスポーツ留学もあるが、中国ではマイナースポーツの野球だが、プレイ人口は日本よりも多いくらいで、YouTuberと中国、さらに野球OBが入ってくると大きな市場になるのではないかとした。
古田氏は今後のプロ野球に関して、「リピーターを増やすことが重要で、新しいメディアでどう広げていくかが必要。野球は投げ方や打ち方などで技術的な事が多いため、細かな説明を野球ファンに届けられるインターネットは向いている。」とした。
ひとつの例として、YouTubeで話題になった古田氏が女の子にキャッチングを指導した動画について語り、「たまたま行ったイベントで教えて欲しいと言われたことがきっかけだった。」として、「ちょっとしたコツを教えただけで再生回数が100万回行くようなメディアを使えば、ファンも喜ぶのではないか。」と語った。
■消費から創出へ。より地域の中へ。UBS Arenaの使命
今回、特別セミナーの司会を務めたUBS銀行 ウェルス・マネジメント本部の山本佳司氏は、UBSにおけるスポーツの取り組みについて語った。
UBSは様々なこれまで様々な競技にスポンサーシップをしていたが、新しくNHLのニューヨーク・アイランダースにスタジアムのネーミングライツとして「UBS Arena」という形で支援するプロジェクトがスタートしていることを紹介した。
UBS Arenaはアリーナとその周辺を含めた開発を投資金額1560億円で行うとのこと。この投資により、契約期間の20年間で周辺地域の経済活動2兆6000億円の創出が見込まれる。雇用面では建設で1万人、維持に3000人の雇用が生まれる。さらに駅を引き込むこと、費用の30%をマイノリティの参画のために使う。さらに教育など、地域と密着し、スタジアムに名前を付けるだけではなく、街を作り出すプロジェクトであることを説明した。
古田氏は「日本でもこのようなケースが増えていけばと思う。日本でも是非入っていただきたい。」と語り、続けて石井氏が日本に何があればこのような投資が出来るのかを質問した。
山本氏は「スポーツとお金を稼ぐ事があまり結びついていない風潮があるが、様々な経営者が『(自身の)コアビジネスのためにいかにスポーツをビジネスで活用出来るか』という考え方が重要では。」と語り、「スポーツにはクラブや選手はもちろん、コミュニティという地域性、人材、テクノロジー、食べ物など参入の裾野が広いビジネスであり、企業経営者の方がそれに気づいて欲しい」と語り、今回のセミナーがそのきっかけになればとしてまとめた。
今回の特別セミナーは、プロスポーツと、それに関わるビジネスについて、あらためて考えさせられるセミナーであった。
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